犬アトピー性皮膚炎(ウエスティー13歳)
1歳ぐらいから皮膚のかゆみなどの症状がでて、内服薬やシャンプーなどの治療を行っていましたが良くならず、ここ最近は治療をあきらめてシャンプーのみしていました。
当院初診時は四肢の毛は舐め続けたことでほぼ消失、重度の脂漏症(特に頸部~背部)、重度細菌性外耳炎、頸部、内股は重度の色素沈着を認めました。各種検査では全身からマラセチアが検出されました。寄生虫は検出されませんでした。
皮膚炎発生部、発生年齢などから犬アトピー性皮膚炎およびマラセチアの2次感染による皮膚炎と診断し治療を開始しました。
シャンプー療法、炭酸泉温浴、抗炎症剤、抗真菌剤などの内服薬の投与、インターフェロンの注射を繰り返し行ったところ、まず痒みが軽減し掻かなくなり、2か月後には四肢に発毛を認めました。
6ヶ月後には四肢の被毛も生えそろい、色素沈着も改善しました。
当院初診時 | 2ヶ月後 |
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重度の脂漏症。 | 発赤が軽減。脂漏が軽減されています。 |
初診時下半身。四肢の皮膚は発赤、肥厚。 |
2ヶ月後下半身、四肢の発赤は軽減し、発毛が認められました。色素沈着はまだ残っています。 |
6ヶ月後 | |
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コメント
皮膚炎のなかでも特にアトピーが関係している皮膚炎は一生付き合っていかないといけない病気になります。アトピー性皮膚炎は遺伝子が関係している疾患なので完治させることができないのです。一度上記のようによくなっても日常のケアを怠ったり、薬の投薬を中断したりすると、元通りに悪化してしまう場合がほとんどです。また、痒みをゼロにしようとするとかなりの量の薬を投薬しなければいけないこともありますので、どこまで痒みを許容できるかを注意深く観察しながら投薬量を決定していく必要があります。 アトピーなどのアレルギー性皮膚炎が悪化する場合はほとんどの場合、細菌感染や真菌感染が併発しています。特に真菌の一種であるマラセチアは皮膚炎を憎悪させる重要な因子です。マラセチア皮膚炎は抗真菌薬、シャンプー療法などでコントロールが可能ですので皮膚炎が悪化しないようにしっかり治療する必要があります。