避妊・去勢手術が必要なわけ
動物病院で最も多く行われる手術が避妊・去勢手術です。
避妊・去勢手術の目的は「予定外に繁殖してしまうことを防ぐ」ということを考えると思います。また、雄ではマーキングの予防、雌では発情時の出血、ホルモンバランスの変化による体調不良を防ぐなどの目的もあります。
ただ避妊・去勢手術を行う目的はそれだけではありません。
若いうちに避妊・去勢手術を行う一番の目的は「老齢時に起こりうる性ホルモンに関連した病気の予防」です。
例えば、雄犬なら前立腺肥大、前立腺嚢胞、精巣腫瘍、肛門周囲腺腫などの病気にかからなくなりますし雌犬なら卵巣腫瘍、子宮蓄膿症、乳腺腫瘍などを予防することができます。
性ホルモンが関連した病気は高齢になってからの病気なので全身麻酔の危険性が増してしまいます。
以上のことから当院では若いうちに避妊・去勢手術を実施することをお勧めしています。
アクア動物病院での避妊・去勢手術
当院では避妊・去勢手術をより安全に迅速に実施するために全ての避妊、去勢手術に超音波凝固切開装置(sono surg)を使用しております。
Sono surgは超音波による振動で組織を溶着し、摩擦熱により凝固します。
つまり血管や組織を縫合、結紮することなく止血、切開ができますので手術時間が短縮、止血の安全性が向上し、患者の負担を軽減することができます。
また、縫合糸などの異物を体内に残さないので、縫合糸反応性肉芽腫の発生リスクを抑えることができます。
凝固の様子。血管壁をシールすることで止血します。 | 凝固後。白く変色した部分は血流が遮断されているので縫合糸による結紮の必要なく切離できます。 |
※縫合糸反応性肉芽腫とは?:手術などで体内に残った糸などの異物に体が過剰に反応してしまい異物を取り囲むようにしこり(=肉芽腫)を形成します。肉芽腫は周囲への圧迫、癒着などにより周辺臓器に障害をもたらします。また、過剰な免疫反応が起こっているので、発熱し元気がないことが多いです。ダックスに多くの報告がみられるのですが他の犬種でも報告はあります。治療は外科的に糸を摘出することが第一選択です。癒着がひどく切除困難な場合は免疫抑制剤などの投薬が必要になります。