外科症例
子宮蓄膿症
2週間ほど前から元気食欲がないとのことで来院。
2か月ほど前に発情出血があって、いったんおさまったが最近またおりものが出てきたとのことでした。身体検査では外陰部が腫脹し、膿性のおりものが付着していました。
血液検査では白血球の増加を認め、レントゲン検査、超音波検査で子宮陰影を確認し子宮蓄膿症と診断しました。まず、静脈点滴で輸液を行なったのち、麻酔をかけて、子宮卵巣摘出術を行ないました。その後3日ほど入院し、白血球数が落ち着き、元気食欲が戻ったのを確認し退院としました。
摘出した子宮。子宮内は膿で満たされていました。
コメント
子宮蓄膿症は未避妊で出産経験のない雌犬でよく遭遇する疾患です。発情が終わった後、1か月ほどで再びおりものを認めた時は要注意です。
子宮蓄膿症は文字通り子宮に細菌が侵入し膿がたまる病気ですが、細菌は子宮のみならず血流に乗って全身にいきわたります。特に腎臓は障害を受けやすく、手術が無事終わった後も腎不全が残ってしまう場合もあります。
子宮蓄膿症は基本的には手術が必要になります。しかし、心臓病などで麻酔の危険性が高い場合は内科療法を行う場合もあります。内科療法の場合は治癒しても、再び子宮蓄膿症になってしまう場合が多いので治療後も注意が必要です。